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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第6章 美里晶

希は本当に、どういうつもりなのだろうか。私がここにいることをしっていて顔を出したのは、その白々しい態度をみてもわかる。もしかしたら、後をつけていたのかもしれない。
だとすればメッセージを送った時には、既に私の近くにいた可能性だってある。女子校時代の同級生を当たれば、大学や住所などを聞き出すのはなにも難しいことではない。
とにかく、私に用があるのは間違いない。問題は、それがなにかということ。
頭の中をぐるぐると回る疑問を、今は直接ぶつけることができない。均の手前、強く出にくいこともあるけど、昔の二人の関係が余計にそうさせてしまう部分は否めなかった。
希はいつもクールで捉えどころがなく、時に大胆でもあり、いつも私を驚かせ――そして、乱れさせた。
なのに今は、昔の親友という顔で平然と近づき、どこにでもいそうな若い女のように、私にではなく均になれなれしく話しかけている。
その様子が、また私をいら立たせた。
「へえ、コンビニでバイトしてるの? じゃあ、大学生なのかな」
「いえ、そうじゃなくて……今はバイトだけで」
「え? もしかして、フリーターなの?」
「まあ、そんな感じです」
「ふーん。じゃあ、なにか目指してることとか、夢とかあるのかな?」
「それは……」
希の不躾な質問攻めにあい、明らかに困り顔を浮かべる均。その様子を見かねて口を挟む。
「希! いくらなんでも、失礼じゃない。初対面の相手に、ずけずけ聞いたりするなんて」
すると、今まで私の存在なんて無視していたような希が、ようやくこちらに視線を向けた。
「じゃあ、晶から紹介してよ。彼のことも、私のことも」
そう言って、希はくっと口角を上げる。

