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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第6章  美里晶 


 それから暫くは、楽しい時間を過ごせていたように思う。少なくとも恋愛をしているという実感を、ここまでポジティブに受け入れられたのは、はじめてのことだった。

 もうすぐ二十一になる私の、はじめての〝彼〟となったのはコンビニ店員の山本均くんだ。二つも年下なので、つき合ってすぐに〝均〟と呼び捨てにすることにした。

「コンビニでは、先輩の目もあるので、ちょっと……」

 ここぞとばかりに人目を憚ることもなく、いちゃつこうとした私に対して、均は困った様子でそう言っている。

 彼のバイトの先輩というのは、私にしてみれば大学の後輩の木村くんのことなので「別に気にする必要なくない?」と言ってみたけど、均の立場ではそういうわけにもいかないみたい。

 そうでなくても均はとても真面目だから、勤務中に彼女といちゃいちゃするような真似はできないようだ。当然といえばそうだけど、単に照れ屋ということもあるだろう。

 でもそうなると、問題となるのは二人の時間をどうやって確保するかということ。まあ、私の方は元々、夜中も遊び(ほとんど飲み)歩いていたようなお気楽な大学生なので、どうにでもなるのだけど。

 均の方は、土日関係なく夜中にほとんどバイトを入れているから、そう簡単にはいかない。

「別に一日くらい寝なくても平気ですよ」

 なんて、かわいいことを言って、思わずきゅんとさせてくれるのだけど。その言葉に甘えて実際に昼間にデートをした時に、食事中にうつらうつらと眠ったりしたことがあった。そんなところも、かわいらしくは思うけど、バイト中にも同じ様子では大変だ。

 やはり彼女としては、無理はさせたくないと思うのだ。

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