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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第6章 美里晶

当時、まだ少女だった私が、どう考え、どう希と向き合ったのか。今となっては、正しい順番で思い返すことはできない。
だけど結果として、私は希とつき合うことになった。それが人生ではじめての恋愛で、身体を重ねたのも希がはじめてだった。
その後、進路希望でコースが分かれたのを機に二人はなんとなく離れ、関係もそれっきりになった。私が高校時代につき合った相手は、希を含め三人とも同じ高校の――
――すなわち、女の子だった。
当時は自分のセクシャリティがどのようなものかなんて、自覚する暇もなかった。ただ、希とつき合ったことが周囲にしれ渡ると、私はその意味で〝アリ〟な人間に分類されていたのは確かだろう。
高校の三年間で私に告白してきた女の子の数は、つき合った人数の何倍にも上った。
大学に入ってからも、状況に大きな変化はなかった。一度すっかり染みついてしまった〝匂い〟というのは、そう簡単には消せないのかもしれない。
それを敏感に嗅ぎつけるタイプは、どこにいても同じだった。
レストランで均に「モテるよ」と答えた時、どこか虚しい風が胸の中を通り抜けたのも、そんな理由があるからだ。
私が恋愛してきた相手は女の子だけである。そんな自分をゲイやバイと、言い切れるならそれでもいいだろう。でも私の場合、ずっと流されてきたような気が否めなかった。

