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永遠の愛を奪って
第21章 祐の出した答え

「転勤した方が給料が上がるから?」
予想したことを言いながら首を傾げると、なぜなのか祐は焦るように私の手からパッと放れて腕を組んで頷いていた。
「そっ、そんな感じ!そういうことだ」
どうしてそんなにお金が欲しいんだろう。
もしかして、これは私に会いに来てくれる旅費を貯めるためなのかな。……そう思っておこう。
でもいっぱい稼ぎたいと言っていいる祐にこの仕事を辞めると言ったら負担をかけてしまいそうだ。
異動させられることは話せたけれど、退職願を出したことはいつ話そう……。
そのことについては休憩中に祐に言うことができなかった。
どう思われるのかも少し不安だった。
午後になってから仕事をしていると、先ほど話していたように祐がうちの課にやってきた。
用事があるのは違う島のデスクにいるお局様で、私はその様子を遠くから眺める。
「あらー!青木くんじゃない。転勤前に話せて嬉しいわ~。
わざわざこっちまで挨拶にきてくれてありがとね。あっ、ちょうどお菓子が余ってるから食べて」
険しい顔をして教えていたお局様の顔が祐に声を掛けられたことによって穏やかな表情へと変わる。
しかも、声のトーンまで明るくなって私と話している時とは大違いだ。
「ありがとうございます。今までお世話になりました。……実は図々しいお願いがあるのですがいいでしょうか?」

