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永遠の愛を奪って
第19章 溺愛とさよならの決心

「そうね。引っ越していたみたいよ」
「なんか追い出されたみたいで可哀想だね。私は一般人でよかったなーって思う」
もちろん彼氏の祐も……。
お婆ちゃんがお店を営んでいたから祐がパン屋の息子だということも気にならない。
寧ろ、祐が後を継いだら店長の奥さんとして一緒に働く人生でもいいと思っている。
「話題になっただけで普通の子と変わらないと思うんだけどねぇ……。
それに遠く離れてもこの桔梗のようにきっと頑張っているんじゃないかい。……せっかくだからこのお花を小春の部屋に飾る?」
私の部屋というよりもお婆ちゃんに借りている部屋だ。
茶の間に飾っていてもいつでも見れるけど、大好きな花だからすぐ傍で見ていたい。そう思った私は頷いてその花瓶を受け取ることにした。
早速、二階の部屋に行って棚の上に置くと、祐と私が暮らす場所が明るく華やかになったように思えた。
どこに飾っても混じり気のない白が目立つ花びらが美しくて見惚れてしまう。
気分を良くした私は花に見合った部屋にするために掃除もすることにした。
祐の物を退かして掃除をしていると彼女ではなく、妻になった気分を体験できて心が躍った。
今頃、友達と会っているんだろうか……。
一人ではなくて複数なのかな……。
その中に女はいない……っと思いたい。

