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最後の恋に花束を
第1章 四年ぶりの春
それから会話が弾み、1時間程経っただろうか。
私も彼も少し酔いが回った頃だった。
『 てか、今日一人で来て大丈夫だったの 』
顔を赤くした遙がそう口にした。
「 んー? ハルくんなら問題ないよ?」
" 公認の友達 " だからね、と付け加えて、ワインを一口飲む。会ってから、どれだけ飲んだだろうか。お酒は強い方だったが、舌ったらずな喋り口調になってしまっていた。
『 へぇ… 公認ねぇ… 』
少し笑みを浮かべながら、小馬鹿にしたように呟く彼。高校生の時からの友達、そして今の恋人と出会ったのも遙が居たからだ。
「 なんか、私可笑しなこと言った? 」
その言葉を口にした途端、遙と視線が交わった。少し酔った私の視野でも認識できる程に。彼の瞳は私を捉え、先程と違った雰囲気が感じられた。
その瞳に、私の心臓が高鳴り始める…ー
『 四年前の事、覚えてる? 』
意地悪をするような瞳に、緩んだ口元…ー
" 四年前 "
彼のその言葉に、記憶が蘇る。
言葉を聞かずとも、ずっと忘れる事はない。
" 四年前 " の記憶 …
私は彼…遙と約束を交わした。
忘れる事はない、あの日。
ちょうど今から四年前の事だ。
まだ寒い明け方の駅前のロータリーで、彼はバイクに跨り私をひとり、バイクから降ろした。
「 もう二人きりでは、会わない 」
そう約束を交わしたあの日…
あの日から、四年間。約束は守られていた。
… 今日に至るまでは 。

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