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セイドレイ【完結】
第25章 暗転

タカはそうつぶやいた次の瞬間──、亜美に肉棒をしゃぶらせている田中をタックルで思い切り突き飛ばした。
「──うぉっ!?!?」
よろめいた田中の図体はそのまま "師匠" にぶつかり、2人揃って後方に倒れ込む。
「──痛っ…!!お、おい!てめえなにすんだっ!??」
突如、口からペニスの感触が消え戸惑う亜美──。
タカはそんな亜美の腕を引き、床に落ちていた亜美のコートを拾い上げると、一目散に走り出し、亜美を連れ去ってしまう。
「おっ、おいコラっ!!待てっ!!どこ行くんだっ…────」
便所を出ると、タカは亜美を持ち上げ肩に担ぎ、緑地公園の中を全力疾走する。
しばらく走り、追っ手がいないことを確認したタカは、木の陰で亜美を下ろすと、まずは耳のイヤホンを外した。
「──あっ!?」
突如、爆音から解放された亜美は、反射的に思わず声を上げる。
「誰っ?誰なの…──」
「──俺だよ」
タカはそう言うと、亜美の目隠しを外した。
「亜美──、久しぶり」
「う、うそっ…──」
亜美は目を疑った。
目の前に立っている男──それは紛れもなく、恋人の姿。
貴之の姿だった。
「あっ…ああっ……どうして…どうし…てっ──」
あまりの衝撃に、亜美は震え上がる。
「──ごめん、驚かせて」
「見…ないで…見ないで……」
「亜美……あのさ、」
「見ないでっ!!!!」
亜美のこんな叫び声を聞いたのは初めてだった。
貴之は無言で亜美に近寄り、その肩にコートをかけた。
「──ごめん。でも会いたかった」
「イッ…いやぁ……ウッ、ウゥッ…ウッ…──」
カラダを震わせすすり泣く亜美。
貴之はその肩をそっと抱いた。
「──俺…さ、うまく言えないけど…べつに怒ったりしてないから。ただ、亜美がもし苦しんでるなら助けたいって…そう思ってるだけなんだ」
「ウッ…違うの…違うのっ…。私はっ…私は…────」
「言えないなら…言わなくていいよ。それに、俺の方こそ亜美に謝らなきゃいけないんだ」
「…え?」
「亜美のこと…信じてやれなくて、ごめんな…」
貴之のその言葉に、亜美は抑えていた感情が爆発する。
「み、みずっ……水野く……ウッ…ウウッ…──」

