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セイドレイ【完結】
第24章 性夜の鐘

「──さすがに、そんなことになったらお前が精神に支障をきたすのではないかと…一応心配になっただけだ。事前に耳に入れておくだけでも幾分違うだろうと。だがその様子だと、要らん世話だったみたいだな」
「ということは、お父様は、私が精神に支障をきたすことを望んでいない、ということでいいですか?では──それを望んでいるのは誰なんでしょう?」
「お前…なにが言いたい?」
「私、もう決めたんです」
「なにをだ?」
「ここで…この家で生きていくということに──ようやく決心がつきました」
「なん…だと?」
「やっと現実を受け入れることができたんです。決してあなたたちの暴行に屈したわけではありません。最終的には私が自分で決めたことです」
雅彦は、亜美の言っていることが信じられない一方、それが嘘にも聞こえなかった。
つらい現実を前に、いよいよ降伏したということか。
しかし、なにかを悟ったような亜美の口ぶりからは、それともまた異なる印象を受ける。
「──私が中途半端でいることが、一番大切な人を傷つけると分かったんです。もう遅いですけど。水野くんには申しわけないですが、もう私なんかとは関わらないほうがいいんです。今回、もし彼が退学にならないのなら、私が学校を辞めようと考えていました。…了承してもらえたらの話ですけど」
「つまりお前は…水野貴之を守るために自己犠牲を払う、ということか?そのために仕方なく、好きでもない男たちにもてあそばれる人生を選んだ──そういうことか?」
亜美は少し考え込んだあと、雅彦の問いに答えた。
「──それともまた、少し違います。たしかに、水野くんのことを守りたいのが一番です。でも…仕方なくというわけではありません。今はこの家が、私の居場所だと思っています」
「ずいぶんと…この短い期間のうちに考え方が変わったようだな」
「私も…そう思います。ですが、本気で逃げようと思えば、今までいくらだってできたと思います。でも私はそうしなかった。最初は方法が分からなかったのもあります。でも──」
「でも…?」
「お父様から、私の両親のこと──私の出生にまつわるあの話を聞いたあとから、少しずつ気持ちが変化してきたんです」

