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愛おしいキミに極甘な林檎を
第31章 未来への誓い

慣れないその様子を見ていると那砂さんが近くに寄って来て私だけに聞こえるように言い放った。
「彼氏くんが長くないことを忘れてないわよね?……絶対に余命が短いことを知られちゃダメだからね」
「…………」
帰ろうっとソラ先輩に声を掛けられるまで私は立ち尽くしていた。
待ち受けている未来がつらくても、今は忘れて少しでも楽しく暮らそうと思っていたのに急に現実に戻される。
信じたくないのに……。
「料理のバリエーションを増やしたいから今日は何か作り方を教えて欲しいな」
「えっ……、あっ…、はい!じゃあ今日は挽肉とニラも買いましたし、餃子にしましょうか」
ソラ先輩は理人さんとの婚姻届について何も聞いてこなかった。
普段どおり他愛のない会話をして笑っていたけど、無理をしているようにも見えた。

