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愛おしいキミに極甘な林檎を
第30章 低俗な野望と片思い

食事の時も大変そうだし、仕事の書類を記入するためにペンも持っても書けないでいた。
それでもソラ先輩は自分のことは私に頼らず自分でしようとしている。
使い慣れていない左手で必死に何とかしようとしている姿を見守りながら、私にできることは率先して手を貸していくことにした。
月曜日の朝になるとソラ先輩は普段どおりに仕事に向かった。
「大丈夫だよ」っと言うけれど、体温計で熱を計ると三十八度もある。
本当に大丈夫なのか不安に思いながら私も会社に行った。
早めに職場に行くとまだ誰も来ていない。
自分のデスクには休んでいた分の仕事がたくさん置いてあった。
残業にならないようにさっさと終わらせようと意気込んで仕事を始めると誰かの足音が聞こえた。
「風邪は治ったか?乙羽のことを皆心配していたぞ」

