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愛おしいキミに極甘な林檎を
第59章 ふたりからひとつへ

「出張だったんだけど、少し時間ができたから可愛い息子とお嫁さんに顔を見せようと思ってね。迷惑だったかな?」
「いえいえいえ!喜ぶと思います」
雨の中、私を迎えに来てくれたのはソラ先輩のお父さんだった。
スマホを見るとメッセージが届いていて、今になって【父さんが来るって】っと続きの文が送られてきていた。
訪問するのが急すぎて部屋の掃除をしていない。
片付いてはいるけど、せめて掃除する三十分の猶予は欲しかった。
「先生、テレビに出てる人ですよね?大空……なんだっけ?」
降り続く雨を避けるワイパーの音と走行音が聞こえるほど静かになると、タクシーの運転手の叔父さんが話し掛けてくる。
「叶斗(カナト)です」
「そうだ。それだった!サインをもらえますかね?
うちの奥さんが医療バラエティ番組をよく見てましてね、先生のファンなんですよ」

