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愛おしいキミに極甘な林檎を
第56章 あなたを愛しているから……



「郁哉さんはこんな結婚の仕方でいいんですか?」


真剣に聞いたのに、どうしてなのか課長は軽く微笑んで私を見てくる。



「助けた時と言い、オレの名前をまた呼んでくれるんだな……。嬉しい」



「今の私が向き合いたいのは、上司ではありませんから。あなた自身に聞いているんです」


「結婚のことは前に乙羽との婚約を受け入れたんだからオレに異論はない」



「じゃあ、結婚しても私があなたを一番に愛していなくてもいいですか?」



「それは……、子供のためなら黙認しておく」


「…………」



それからこの話を終えてマンションまで送ってもらった。


昨日のように待ち伏せている人もいなくて無事に帰ることができたけど、玄関のドアを閉めた後、照明をつけないまま暗い場所にしばらく立っていた。


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