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愛おしいキミに極甘な林檎を
第54章 想いと青春の絆



女友達に言われたことでスープの具材をすくい上げていたスプーンを動かすことをやめた。


カップの中に視線を下ろしたまま、口を閉じて何も答えずに固まる私。



「つい最近、花城さんから聞いちゃった。忘年会の時に部下が奥さんと同じ部屋に泊りたかったから仕方なく譲って、そしたら偶然風子と一緒になったって」


「そうなんだ……」



「あの人、優しくてとってもいい人だよねー。風子のことをたくさん心配してくれていたみたいだし。
他の課の課長さん達に絡まれて酔っ払った風子を引き離すのが大変だったみたいよ」


「他には…なんて言ってた?」



「この前一緒に出掛けたのなら、忘年会の時に何をしたのか話さなかったの?」



顔を上げてから小さく頷くと、女友達は緩いパーマがかかっている短い髪を指でくるくると弄り始める。


すぐに答えは返ってこなくて周りの人の声や店内に流れている曲だけしばらく聞こえていた。


降り続く雪が見える窓の方をぼんやりと眺めた後、女友達は口を開く。



「二人っきりだったから、……風子とエッチしたって言ってた」


「…………」



「もうここまでしちゃったんだし、彼氏と別れて花城さんと付き合っちゃえば?」


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