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愛おしいキミに極甘な林檎を
第50章 pallidus memoriae*儚い恋と永久の愛



「その優しさが私にとってはつらかったんですよ。あの時、もっと話し合いたかったです」



「ごめん……」


「随分前のことですし、気にしないでください。私はあなたのことを憎んでなんかいませんでしたから自分を責めないでくださいね」


「ありがとう、風子」


付き合っていた頃と同じように名前を呼ばれて、綺麗な思い出として胸の奥に閉まっておいた過去の幸せが疼きだす。


すぐに触れられるくらい近い距離。

目に見えては近いけれど遥か遠く感じる。


相変わらずだと言った塑羅緒さんにとってはどう見えているのか分からないけど。



この綺麗な思い出に手を加えればあっという間に濁ってしまうことくらい分かっているように思えた。


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