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第1章 失われた時間

我ながら努力していると思う。
元々、兄、妹の二人兄弟で年の離れた兄は、私が中学に上がる前に進学で故郷を離れた。

病弱だったらしい私は一人っ子のように甘やかされ、田舎暮らしの両親にのんびり育てられた。

そんな私が、分刻みの目まぐるしい仕事をこなしているなんて、両親が知ったら驚くだろう。

ただ、進学、更に就職まで東京と決めた時点で、両親とは絶縁状態なので知ることもないのだけれど。

次の原稿に目を通し、一緒に回された情報も見る。
これにも欲しい情報の欠片はない。