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再会 ∽∝∽初恋は実らず?∽∝∽
第4章 絶対安静

濡れ羽のカラスのような漆黒の髪が、乾くほどに艶を帯び光沢を持つ様子は美しく、ずっと髪を弄っていたくなった。
「綺麗な髪の毛ですね。」
「なるべく自然なままにしたいので、黒くて重たいとも言われるんですが、染めたりしたくなくて…」
「そうですよ、綺麗なのに染めたりしたら勿体無いです。ずっとこのままでいてくださいね。」
篠宮さんはドライヤーを置いて髪を掬い取り、ブラッシングしていく。
乾いた髪にもう触れる理由が無くなるのを惜しむように…
気持ちいい、人に世話してもらうのがここまで気持ちいいなんて…
それが篠宮さんだから、
お医者さまの器用な手だから、
そんなことはどうでも良かった。
土鍋の蓋がカタカタと鳴るだけの空間、
男性と二人きりなんて、本来なら緊張してしまうところだけど、
ソファーに寄りかかり、篠宮さんがブラッシングしてくれるのを、目を瞑ってゆったり味わっていたのだ。

