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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第5章 不安

◇◇◇

「……はぁ……」

昨日の言い訳をしたくなくて、早いと分かっていてマンションから飛び出した私。今はいつもの公園のベンチに座り出社時間待ち中。

(後何日桜を見れるかな?)

もう8割りがた散ってしまった桜達、地面は桜色の絨毯のようで綺麗だけど、私は満開に咲いている桜が好き。地面に落ちた桜は……過去を思い出してしまうから。

「思えば、良いことも悪いことも桜だよね」

私には、蓮さん陸さんに言えないことがある。蓮さんには昨日その片鱗を見られてしまったけど。
一度火が点けば、自制が効かない私の身体。それは過去に散々叩き込まれたせい。

(……また具合悪くなりそう)

今日の夕方まで耐えて私。
夕方になれば楽になれる、気休めだろうと楽になることが出来る。それまで私が我慢すればいいことだよ。

(こっちに来てから、薬は減らしたのに……)

1年掛けて漸く落ち着いた、そう思っていたの。でも無駄だったみたい。蓮さんとのセックスで、つくづく思い知ったよ、私の身体はまだ過去から抜け出していないって。

「最低だよね、こんな私」

昨日のミスどころの話じゃない、私の根本から関わる問題。変わりたいと地元から出て来たはずなのに、私の身体はあの頃から止まったまま。1つだけ言えるのは、地元には絶対に帰りたくないということだけ。
帰れば……待つのは地獄、また抜け出せない鎖に繋がれるのは嫌。これだけはハッキリと心に決めているの。

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