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隷吏たちのるつぼ
第6章  第五章 誨淫の舎
 余韻に浸っている暇はない。立ち止まって絶頂している間も征四郎は行進を続ける。追い抜かれ、リードの長さが足りなくなると、グイッと首輪を前に引かれた。喉が締まって幸せだが、主の意志には従わなければならない。

 前方に目的地が見えた。

 地面に半分埋められたタイヤ、錆びついた鉄棒、コンクリートがひび割れたプール。点在するそれらは、繁茂した雑草に絡みつかれ、土へと還れと促されているかのようだった。かつてグラウンドであった広場の向こうに、二階建ての校舎が生気なく佇んでいる。

 校門の鉄扉は外されており、やすやすと越えることができる高さに泥じみたトラロープが渡されているだけだった。前庭の花壇も侵食してきた雑草に取り込まれ、ところどころ境界がわからなくなっている。
 昇降口には蜘蛛の巣の張った下駄箱が並んでいた。この荒廃ぶりなら土足で段を越えても誰も責めないだろう。そもそも、ケモノたる自分が土足かどうかを取沙汰することが間違っている。

「あふぁっ……!」

 頓狂な声が漏れてしまった。校舎に入ってすぐのホールで、ここまでの疲労のために高さが下がっていたヒップを両側から掴まれて、持ち上げられたのだ。

(ああ……、や、やった……!)

 セシュターから嗚咽が漏れた。
 触れられただけでも傷が滲みる尻肉の中心で、熟れ落ちる直前の果実のようになった狭間へ肉の刃が押し当てられた。

 下さい、と訴えたが、整った語韻にはならなかった。

「ンオォッ……」

 にもかかわらず、征四郎はズブズブと埋めてきてくれた。先端が最奥まで達して、待望していた熱の塊が子宮のふちへもたらされると、

「ウーッ!」

 球に空いた穴からヒューと息を鳴らした。硬い肉で内部を満たされたまま、肩を引かれて上体を起こされる。二本足で立つことを許され、首の後ろのベルトが緩んだ。

 轡を吐き出し、まずは大きく呼吸をしたかったが、
「あ、あり……、ありがとう、ございますぅ……」
 とりもなおざず感謝を述べた。「っ! ああっ、で、でも、ごめんなさいっ……、こんなすぐっ」
「どうしたよ?」
「ん、イ、イキそ……」
「いいのか? このままイッちまってよぉ」

 無骨な手のひらが袷を掴み、突き上げる勃起が踵を浮かせてきた。
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