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堕天使 1st gig.
第9章 少年
佐川のところは確か兄弟がやたらいて貧困な家庭だったのを俺はなんとなく覚えている。だけど施設育ちの俺は家族が居るってだけで佐川が甘えているようにしか見ていなかった。

佐川がテロを起こした時も俺は同期という事で一応取り調べを受けた。俺は同期だろうと覚えがない奴だから状況によっては佐川を射殺するつもりだったと答えていた。

だから佐川の自殺を聞いても何も感じなかった。理由がなんであれ、佐川はテロだった以上、俺には関係ないと割り切っていた。

そしてその弟である少年にも俺は同情する気はなかった。あくまでも少年が取った行動はテロで、しかも俺が対テロの人間だと情報を握っている危険人物に変わりはない。

所轄が来て少年を引き渡す頃には駐車場の前の道にはかなりの野次馬が出来ていた。宗司が

『やれやれ…。』

と野次馬にため息をつく。その野次馬の中に俺はリナがいるのを見つけていた。面白げに現場の状況を見ている野次馬の中でリナだけが青ざめた顔で真っ直ぐに俺を見ていた。

やばい…

暑い寒い以前の問題だと俺は思っていた。リナが俺に一番気にしている事は俺が無傷で生きて帰って来るって事だ。

そんなリナに俺は例え家のど真ん前でも俺の仕事は危険なんだと晒した今の状況に俺は狼狽えるしか出来なかった。

目ざとい宗司がすぐに俺の変化に気付き

『大丈夫ですか?』

と聞いて来る。俺は宗司の質問には答えずに所轄に

『調書は後日に報告書の形で構わないか?俺は今、休暇中なんだ。』

と言っていた。所轄は軍だからそれで構わないとだけ答えて少年を連れて帰っていた。

少年は被害があるないに関わらず、テロと断定された段階でほぼ無期懲役の扱いになる。テロにはまともな裁判すらないからだ。

一方的に刑が決められた裁判で少年は刑務所か隔離施設で残りの人生を過ごす事になる。家族の為だろうとテロはテロという扱いが今の世界ではそれが当たり前の事だった。

だが、リナにはまだそんな世界を理解出来ていない。リナの世界はただ1人で俺が無事に帰って来るのを待つ事だけが全ての世界だった。

所轄が帰ると野次馬が引いていた。宗司も

『では次はいつもの店で…。』

とだけ言って帰っていた。
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