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第26章 運命は・・・先着順？

ｷｭｳ・・・


白々しいまでに
マリアの左手を大事そうに持って
その薬指を執拗に触っては

握ったり…撫でたりしながら
ヤツがマリアに言い聞かせている



『まりあ？…ほら、帰るから
早くサインしてくれ・・・

君を信用しないのとは違う
けじめとして…必要だからだ

もう俺は、君を二度と責めたり
恨んだりはしないよ

ね？まりあ・・・
まりあはこれから子どもを産んで
俺たちは親になっていくんだから

わかるだろう？』







ゾワ・・・～…


つぅか





イラ・・・っ






コイツが気色わりぃのは
前から知ってるよ



見せつけられた？

まぁ、そうだな



ヤツは、マリアに指輪はめて
その手をやたらに触りながら

一瞬俺の方を見て
微かに笑いやがったからな



ドヤ顔を、少し不気味にした感じか？



イラっとする？
けどな…そりゃどうでもいいんだ



俺の・・・本当に…イラっと

モヤっとした感情は




単純に・・・俺の


〃嫉妬心〃だから・・・









俺は…

俺が今

何をどう理屈こねたって

ヤツと同じ事は出来ない


例えマリアが嫌がっていても

今日(ｺﾝﾆﾁ)、この場で

その行為が許されるのは

この男・・・


マリアの左手・・・その場所に

入って良いのは

この男なんだ・・・




俺は…その事


その現実に


その事実に・・・ただ、ただ


めちゃくちゃに嫉妬していた