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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第26章 運命は・・・先着順?
『っ…ぃや!…っはなして!!』



連中にとって足手まといな俺が
停止してしまえば

その矛先は
迷うこともなくマリアに向かう



運転手の男が
マリアを即座に羽交い締めにして
グイグイと車に向かって行く



『ま・・・りあ・・・』



もつれるように膝をついて
地面に伏した俺は
頭ん中がキーンと音を立てて
しばらく…動けなかった






『ゆぅちゃんっ!ゆぅちゃんっ!!?

しっかりしてぇ・・・っ』




車に乗せられようとしてるマリアが
泣きじゃくるように叫んでる



「手間取りすぎだぞ、早くずらかれ!」


『~~…っ』


「フン…あ~ぁ〃ナイト〃くん
カッコ悪いねぇ?
ま、しかし…〃悪い事〃は
するもんじゃないねぇ~?ハハハ」


ハゲが地面に伏してる俺に
捨て台詞を吐いて去ろうとしてやがる


ケッ…


ハゲのくせに…ドヤ顔してんじゃ…ねぇよ




なんて・・・その時





『ゆぅちゃんっ!…ゆぅちゃんっ

~っ、はなし…て・・・よっ!!』







ドス・・・っ






「~~!?・・・」

マリアを捕まえていたクマ男が硬直


マリアは〃禁じ手〃を使って
男の手から逃れた





『ゆぅちゃん…!』




マリアが…駆けてくる

逃げ場がねぇのに…俺の元に



『っ・・・』



俺は、よろけながら
やっと起き上がった




「~~困りますよぉ!?橘サン!!」


そんなマリアを豹変しきって
別人のような形相のサトウが
取り押さえた



連中は・・・焦りはじめてる



こんな事を生業にするヤツらは
人目につくかもしれないとこで
長い時間、大乱闘するなんて
命取りなんだろうな



「大人しくしろ…っ」



『ぃや!っ・・・ゆぅちゃんっ』




「このアマぁ~!?よくもぉ~っ…!」


「おい、そろそろリミットだぞ!?急げ」






『誰かっ・・・誰か来て下さいっ!!!』




マリアは誰に…どこに届くかも当てもない
助けを求めて叫びはじめた


唯一・・・対抗できる手段であり

こういう野蛮な輩に最も有効な

女の高い叫び声




『誰かっ・・・誰か助けてっ!!

誰か来て下さいっ!!誰かぁ…っ!!』
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