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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第26章 運命は・・・先着順?
どんなに最悪だって…その中での最善を


欲張れないんだ…いつだって


それならば


最も優先することは・・・







『マリア…とにかく走れ

走って警察かホテルか…どこでも
なんでもいい

〃最低明日の朝まで〃逃げきるんだ』





『ゆぅちゃんっ…そんなこと…』




マリアは当然うろたえていた


まぁ…予測できることだったけどな




でもな…見てみろよ?
このとんだ状況をさ



でもって…これでもか、ってくらいの
悪条件…タイミングの悪さをさ



ロータリーに戻ってくるタクシーは
よりによってまだ一台としていない


一台くらい…戻って来いよな


いつもは嫌でも寄ってくるような
野次馬でさえ…一人としていない


野次馬どもめ
こんな時にくらい…役に立てよな?


お前らでもいて集まってくれば
こんな…得体の知れない

胡散臭さ全開の
〃自称調査員〃なんて

あっという間に退散してくだろうものを




この時間じゃ無理もねぇか・・・ははは

お手上げだぜ…



恨むぜ・・・この

完璧なまでに揃ってる悪条件を…な




だから・・・そんな

最悪の状況だからこそ




一番の目的だけは

果たさねぇとな






『マリア…早く逃げろ』








あと一歩・・・あと一歩

すぐそこまで来ていたんだ




希望をもって

明日を迎えるはずだったんだ




ジャマすんじゃ・・・ねぇよ







『朝までは逃げきれよ!!
絶対にな!?

しょうがねぇよ、マリア
両親には帰ってから説明して

明日…飛行機乗っちまえば
こっちのもんだ!…わかったな?!』




俺はマリアに急いで耳打ちして
もう一度、マリアの背を押した





『ゆぅちゃんを置いて
そんなこと出来ないよっ
あんな…危なげな人たちっ…』







『~何度も言わすなマリア…っ
言うこと聞けって…言ってんだろ』






『ゆぅちゃん・・・っ』






『俺のためと思って・・・早く行って?』






『・・・!?』







『俺に・・・後悔させないでくれよマリア』









もう…あんな風に
悔やみたく…ねぇんだよ俺
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