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第29章 果たされぬ・・・約束

ようやくと言うか…突然と言うか

言葉を発した俺に
エリカは少し…驚いてた




『ユウト・・・この人のこと
今も好きなんだよね・・・？

だから・・・彼女つくらないし
結婚も…考えないで・・・

この人も…ユウトを好きだよね？
なのに・・・どうして？』






『・・・』






『この人・・・今どこにいるの？』







『・・・』








『・・・生きて・・・るの？』








『ふっ・・・・・・勝手に殺すなよ』





初めて見る…ためらいもためらいながら

言葉を選ぶエリカに

さすがに少し吹き出した







『だって・・・この手紙、なんか

この人・・・まるで、どこかに

遠くに…いなくなるみたいな』









『・・・・・・いなくなったよ』









『え・・・』













『去年の・・・今頃かな

遠くに・・・いなくなった

もう・・・二度と会わないし

会ったらいけないんだ・・・』







『なんで？・・・え、なんで？！

だって・・・お互い好きなんでしょ？

なんで会ったらいけないの？

なんで別れるの？！意味わかんないよ』







『・・・』


それを・・・〃オトナの事情〃とでも言えば

１７才のエリカの事は

いくらでも…何とでも

言いくるめられたかもしれない









なのに・・・なんで俺











『許されなかったからだ・・・』











なんで俺は

誰にも話せなかった
誰にも言わなかった事を…

目の前の少女に
話してしまったのだろう・・・











『好きになっては

いけない相手(ひと)だったんだ・・・』