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女王のレッスン
第5章 ■努力のタマモノ

やっと瑛二さんから共有されたスケジューラは、私に見えない予定でそれなりに毎日埋まっていて
向こうひと月の水曜と金曜の夜に8 Knotの名前があり、今日この昼にも聞かされていた依頼内容が入っていた。
ホテル名と時間、その夫婦のものらしき名前。ケン&シホとある。
翌週の火曜にはマリ。こちらはただひと言、撮影。更に次の土曜はカイ&ナミ、緊縛レイプ。
スケジュールとしては不穏過ぎた。

「何この予定。もうカレンダーも誰にも見せらんない」

土曜日、車で迎えに来た瑛二さんに開口一番告げる。

「それ以外どう書けってんだ」
「せめてなんか隠語とかないの?」
「俺に淫語使わせるとかどういうプレイだよ」
「今言ったそれ多分インの字違うよね」

車はホテルに向けて走り出す。ラブホテルじゃない、普通というにはあまりに高級感のあるホテル。

「流れとかあるの?」
「適当だね。状態見ながら縛って触って見てる旦那が我慢出来なくなったら俺の出番は終わり。あとはセックス見て終了」
「そういうの、平気なもの?」
「平気も何も仕事だよ」
「じゃなくて……欲求的に」
「まあ多少はくるけど慣れだな。それより自分の心配しとけ」

意地悪く笑われてむくれながら助手席に背中を預けた。
昨日の講習会は後手をおさらいしてから諸手上げに挑戦した。
身体の前で両手を纏め、そのまま上に上げて後頭部へ。垂れた縄は身体を回り、胸縄をかけて拘束する。
腋も胸も晒されるからこれがなかなか恥ずかしくて、されてる間は軽く赤面しっ放しだった。
腕が固定される訳じゃないから長時間は不可。でも羞恥を煽るには後手よりこっちかもしれない。

「今日は写真の代わりに動画な。後で観てみたいそうだ」
「自分たちのセックスを?」
「いや、俺に縛られてる所からずっと」
「見返してまたするの?」
「あっちは多分な。で、俺はそのデータをルカにやる」
「は?なんで……」
「世界の作り方をそこから習得してけ。手先が器用なのはよくわかったし飲み込みも早い。なら次のステップも用意しながら教えた方がいいだろうと思ってね」

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