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第14章 想い

「…愛してる」

奈緒の頭を抱える様に腕を回し、切なく耳元で囁く声は、いつまでも聞いていたい程甘く心に滲みて、奈緒の心を柔らかくほぐした。


純には何もなかった。

社会的地位も経済力も、信用も…。


「奈緒さんに触ってもいい？」


それでも確かなものは、そんな純のそばにいたいと、心から願う今の自分。


触れてほしい。


「触って…」


その髪に触れたい。


「僕にキスして。」


唇を重ねたい。


あなたの全てが欲しい


私の全てをあげる



「純…、抱いて。」



奈緒は両手を伸ばし、純の耳元に手を添えた。

恥ずかしそうに少し微笑み、近付いてくる純の唇にﾁｭｯとキスをした。

純は愛しげに奈緒を見つめながら背中に手を回し、ぴったりと身体を重ね、暴れ出したくてたまらない若い情熱を奈緒に強く押し付けた。


「ﾝｯ……」


奈緒が怯んで少し腰を引いた。

「あぁ…奈緒さん…」


熱い息を吐き、首筋に舌を這わせ、甘く噛み、更に強く抱きしめてくる純に、奈緒は身体の奥が疼きだした。

純はﾌﾞﾗｼﾞｬｰのﾎｯｸを外して床に落とした。

「ｯ…」

奈緒は急に恥ずかしくなり、思わず両手で乳房を隠す。


「見せて。」


熱い瞳に見入られながら両手を掴まれ、純の両肩に伸ばされる。


純は乳房に顔を近付け、その先を唇に含んで軽く吸った。

「んｯ…」

左右交互に甘いキスを受ける度にﾋﾟｸﾘﾋﾟｸﾘと反応する奈緒の身体を確かめると、指先で顎を引き寄せ、強い眼差しで冷静に口を開いた。


「今すぐ壊したい。」


「──…っ…」


えっ…


奈緒は純の眼の中にある獲物を捕らえる時のような冷たさと、あがなえそうもない強い意思に怯え、顔がみるみる恐怖の色に変わった。


「や…こ、怖い…」


「じっとして…」


純の視線に縛り付けられるように身体を硬くした奈緒の両腕を壁に押さえ付け、その乳房に唇を押し当てて激しく吸い付いた。


「あっ…──う、ぅぅｯ…」


乳房は揉みしだかれて赤くなり、強く握られた乳房の先を、何度も熱い舌が擦り、音を立てて吸い付き、舌先で転がされ、弾かれた。


「純…、もっと優しくして──……ﾝっ、あｧｯ…」