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終止符.
第14章 想い
純は奈緒が果てるのを切なそうに見つめていた。

奈緒の内側の痙攣が静まるまで指をそのままにしておき、少し静まると親指で蕾を刺激して何度も奈緒を啼かせた。

奈緒は腰を震わせながら、純が押し付けてきた怒張したものを強く感じたが、純は最後まで奈緒の中で自分を満たそうとはしなかった。

奈緒は泣きたかった。


純は奈緒の髪を撫で、乱れた下着を元に戻し、まだ静まっていない自分自身を隠すように背中を向けた。

「もしもフラれたら、僕を呼んでください。……僕…いつでも飛んできます。……結婚とかする時には、教えて下さいね。……そしたら、諦められる。」

「純…」

純はネクタイを絞め直した。

「僕のプレゼントとかハガキとか、大事に取っといてくれて嬉しかった。…僕はやっぱり…弟みたいなものでしたね…」


違う…


「もう邪魔はしません。…両想いになるといいですね。……あなたの幸せをいつも願っています。」


違うの…


純は振り向かずに立ち上がり、リビングに脱ぎ捨てていた上着を掴んで玄関へ行き靴を履いた。


純…

待ってよ

純…

そばにいて


玄関のドアが開く気配がする。


やっと気がついたのよ


(バタンッ…)


「純っ…!」


奈緒は追いかけなかった。

自分を馬鹿だと思った。
どれが正しい答えなのか分からない。

純を傷付けたくないのに、傷付けた。
守りたいのに傷付けた。

「純…」

直ぐに携帯を取り出して篠崎に電話を掛ける。


夜が明けたばかりだった。


『もしもし、こんな時間にすみません。立花です。』

『どうしたんだ。』

『今、話せますか?』

『あぁ、構わないよ。』


まだ泣けない。


『谷口純の母親の名前は、加代子です。 谷口加代子さんです。』

『…そうか…、わかった。』

『あの、部長、いえ副社長…』

『どうした、大丈夫か?』

『彼の連絡先を知らせますから、あとはよろしくお願いします。』

『あぁ、ありがとう。』

『 とてもいい子なんです…あの、もう彼を傷付けないでください。』

『君も力になってあげるんだろう?』

『………』

『彼を好きなんだろう?』

『…これから先の彼を…よろしくお願いします。』


奈緒は電話を切った。

ずっと堪えてきたものが溢れ出し、奈緒はしゃくり上げながら泣いた。
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