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遠い日の約束。
第2章 動き出し運命

─…
──…
───…
陽の光が差し込み、まぶしさで目が覚めた。
見慣れない天井に見慣れないベッド。
まだ起きていない頭をフルに回転させながら、次第に血の気が引く思いがした。
「なんてことを…」
言葉がでなかった。
少し酔っていたとしても、春馬との事がばれないように私は立花さんとそういうことに同意した…
結局は何もなかったからいいものを、私はなんてことをしてしまったのか。
頭をかかえて動けずにいた。
放心状態でいると、寝室に立花さんが入ってきてベッドに腰を落とし私の頭を優しく撫でる。
「おはよう。嫌な夢は見なかった?」
その言葉に、いつも見る夢を見なかったことに気がついた。
冬になると決まってみる、覚えてないけど怖いと思う恐怖だけが残る夢。
いつも春馬がいたから見なかった。
春馬がいなくなって毎日見続けてた夢を…今日は見なかった。
「その様子じゃ見なかったようだね。朝食できてるけど食べられるかな?」
顔を上げると、やさしい瞳が向けられていた。
そして、その腕の中で眠ってしまったかと思うと恥ずかしくてまたうつむいてしまう。
「どうしたの?」
心配そうな声で聞かれても何も言えなかった。
何も言えないでいると、立花さんの手が私の頭に触れそっと抱きしめる。
恥ずかしいと思ったことが、また目の前に広がる。
ドキドキと鼓動が早くなり、ぎゅっと目を閉じて体を硬くする。

