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第13章 混在する記憶

私は…裏切られたの？
会いたい、愛してる、愛したいと言いながら、もう他の女に目を向けようとしているの？
私が言える立場じゃないのは良く分かってる。
分かってるけど…

「これで、良く分かった？立花さんも平気で嘘をついて裏切る…裏切らないのは俺だけだよ…華？」

流れている涙をそっと拭き、優しく私の名前を呼ぶ。

『華？』

いつも優しく私の名前を呼ぶ俊樹の声が私の頭をよぎる。
もう、あの声で名前を呼んでもらうことはないのだろうか？
もう、私を抱きしめてくれないのだろうか？
もしかしたら、篠原さんを抱いた腕で私を抱くのだろうか…
分からない…
俊樹がそんなことを平気でする人だとは思わない。
だけど、今聞いた言葉が私を惑わす。

「まだ信じられないんだ…だったらベッドで裸になって抱き合っている写真でも送ってもらう？」

「いやっ…それは…ダメ…」

高宮くんの言葉を即座に拒絶する。
真実を知りたくない私は拒絶した。
もし、それが本当だとしても真実は知りたくない。
もし、篠原さんを抱いたとしてもそれを知りたくない。
俊樹が私を裏切った真実なんて知りたくはなかった。
そう思う私の心が、もう信じられないでいるなんて気がつかないほど私の心は乱されていた。

「まぁ。いいやっ。あっちはあっちで楽しんでるんだから。俺たちも楽しもうよ。」

私との温度差を感じることもなく高宮くんは呑気にそんな言葉を口にする。