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第19章 嵐の予感

「私は無力な人間だ。そんなことができるだろうか？」




「できるわよ。あなたは誰より強くて頼もしい男(ひと)じゃない。承誠君さまの理不尽な逆恨みだって受け止めることのできる公正な人。あなたは父が舅で良かったと言ってくれたけど、私はあなたがこの国の王さまで良かったと思うわ」





　カンが涙に濡れた眼で見つめてくる。思えば、彼がファソンの前でここまで弱音らしい弱音をさらしたのはこれが初めてだった。