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第2章 私のフィアンセ～摂津凪子の依頼～

「なんでバレてたって思うの？」
「なんでって言うか……目を見れば分かる。信じてはいないけど騙された振りをしてる。そんな目だった」

言葉にしづらい思いを説明すると幸二朗だった男はフッと笑って窓の外に視線を転じた。
その態度が、何か含みがあるようで癪に障る。

「なんですか？　言いたいことがあるならはっきり仰って下さい。俺はプロだから完全に騙した自信があるとでも？　ご心配なく。結果云々関係なくきっちりとお金はお支払いしますんで」
「別に俺は人を騙すプロではないよ。一時だけの恋人になる、それだけだから」
「じゃあなんですか？　なんか言いたそうにしてたじゃないですか」

こうやって相手を追い込む。
分かっていながらその性分を変えられない。

「いや……目を見たら本当に分かるのかなって……」

男は静かにそう言った。