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月光の誘惑《番外編》
第1章 月下の桜(一)

その笑顔に、誰が逆らえるだろう。俺もすぐにジャケットを脱いで、放り投げて――彼女をぎゅうと抱きしめた。
あぁ……。
華奢で、柔らかくて、いい匂いがして、触れるだけでイキそうなくらい、勃ってしまっている。
でも、抱きたくてたまらないのに、本当にいいのかと、自問自答する。
由加の代わり?
セックスをしたいだけ?
本当に、いいの?
俺はあかりさんで、あかりさんは、俺で。本当にいいのか?
「あかりさん」
「ん、なぁに?」
「本当に俺で」
疑問を彼女にぶつける直前で、言葉が遮られた。
温く柔らかな唇が、二度三度と俺の唇を塞ぐ。いつの間に口にしたのか、爽やかな清涼タブレットの味。
「翔吾がいい」
俺でいいのか、の答えは、簡単に明確に返ってきた。
それで、その一言だけで、ただ安心する。緊張が解けていく。腰が砕けそうなくらい、嬉しい。
「っわ!?」
いきなり、あかりさんが俺に抱きついたままベッドに体重を傾ける。慌ててあかりさんを潰さないように両手を張ったけど、ベッドのスプリングが跳ねてうまく力が入らなくて、結局、彼女の上に倒れ込む。
「ちょっと、あかりさん! 大丈夫!?」
「ん、大丈夫」
真下に見える笑顔。冷たい指が、俺の頬を撫で――誘う。
請われるままに、俺は顔を近づけ、柔らかい、花のような唇に、自身の唇を重ねる。
薄く開いた唇の中に舌を挿れ、彼女の舌を探す。恐る恐る侵入したのに、あかりさんはすぐに舌を絡めてくる。頬に添えられていた指は、いつの間にか首の後ろに回り、俺の頭ごと固定されている。

