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月光の誘惑《番外編》
第1章 月下の桜(一)

「あかりさんとセックスしたい」
「いや、そんなに言わなくても! わかったから! わかった! けど!」
けど?
不安になるような接続詞、使わないでよ。
あかりさんが真っ赤になりながら紡いだ言葉は、俺の心を、簡単に撃ち抜いた。
「……私、明日は休みなの」
「……え?」
「今から、じゃダメかな?」
木枯らしが吹き荒いでいた心に、いきなり春がやってくる。
目の前に、女神がいる。
え、いいの? 本当に? 夢じゃなくて? ドッキリじゃなくて? 出会ったその日で、いいの?
「……クリスマスまで待てない、私」
……勃った。
そんなこと、上目遣いで言われたら、勃たないわけがない。二十歳の男が、我慢できるわけがない。
今すぐこの座敷で押し倒して、突っ込んで、掻き混ぜて、中を白いもので汚してやりたい。ダメだって言われても、泣かれても、何度も何度も、犯して――。
「……行こう、ホテル」
「え。まだ残ってるよ?」
「ダメ。もう我慢できない」
会計をするために立ち上がった俺の股間を見て、あかりさんは苦笑した。そして、スーツのジャケットと、ダサいダウンジャケットを着始める。
応じてくれた。
それだけで、はちきれそうだ。
「充電器、忘れないでね」
「はぁい」
割り勘のことなんてすっかり忘れて、いつも通りカードで支払う。
頭の中は、近くのラブホへどう行けば近道になるだろうかと、それしか考えられない。
サンタクロース、良い仕事してくれたなぁ! 本当に、最高のプレゼントだ。

