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月光の誘惑《番外編》
第1章 月下の桜(一)

スマートフォンはしまって、向かい合わせであかりさんと料理を食べながら、いくつかの取り決めをする。セックスフレンドの契約みたいなものだ。
主に、あかりさんから俺に向けたセフレの条件みたいなものだったけど。
「私は彼女にはなりません。セフレです」
「セフレは常に複数人います」
「彼女ができたり、結婚したりするときは、関係は解消します」
「私を束縛するようになったら、関係は解消します」
「避妊はしなくて良いです。妊娠しない体なので」
「体臭で病気持ちかどうかはわかるので、性病の心配はありません。気になるようなら、検査を受けますし、翔吾くんも受けてください」
なるほど。好条件ばかりだ。
性病の下りは信憑性が疑わしかったけど、三ヶ月前の診断書を見せられて納得した。常に持ち歩いている女は、普通はいない。そういうことを常に想定しているということか。
「翔吾くんからは?」
「……ホテル代は割り勘?」
「あ、もちろん、私が全部払うよ」
その瞬間に、俺の心は決まった。
ラブホ代を渋る女はいるけど、全額出すと言う女はそういるもんじゃない。
彼女は「本物」だ。本当に、セフレだけを欲している。
それは、俺にとっても都合が良かった。彼女なら、結婚を求めてきたり、高価なものをねだってきたりは、しないだろう。
「あ、鯛、美味しい」
「カンパチも美味いよ」
「私、マグロ苦手なのに、美味しいね、このお店のお刺身」
美味しそうに食べてくれるので、頼み甲斐がある。でも、少食だと言っているので、多くは頼まず、俺のオススメだけ注文する。

