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愛しのキスは蜜の味~sequel【完結】
第3章 葉瑠は俺んだから……

「ねぇ葉瑠ちゃん、このあと暇?」
なんで?もしかして誘うつもりじゃないよね?
ブンブン、暇じゃありません。
「ちょっと、呑みに行かない?─近くにいい店があるんだよ」
ブンブン─ダメダメ──行きませんよ。
「いいじゃん、行こうよ」
ゆっくりと近寄って顔を覗き込もうとするから、少しずつ後ずさり。
稜さん、いつも顔近過ぎなんですけど…
「なんで下がるの?」
「だって稜さんが近寄って来るから…顔…近すぎ」
そしたらまた一歩……
ジリジリ通路の隅に追いやられ、もう一歩も下がれなくなった!
あの、ちょっと…そんなに近くに来なくても…
稜さんはロビーに背中を向けて私の顔を挟むように壁に手を付いた。
「逃げられたら俺、追い掛けたくなんの」
へ? ……これってマズイ展開だよね、
どうしよ、鏡也君はまだ来ないし…。
「稜さん、私…彼が待ってるからもう行かなきゃ」
「クスッ、嘘ばっかり。どこで待ってるの?」
えっと、あっち。
会場の出入口を指差して腕をくぐり抜けようと屈んだのに腕を下げて通せんぼ……
あ~もうっ!
「稜さん怒りますよ!」
「クスッ、やっぱり葉瑠ちゃんは可愛いね」
稜さんの顔がどんどん近づいてくる……
稜さん、なにするつもり?
まさか……違うよね?
でも…ダメダメ、このままだとキスされちゃう。
私は両手で口を塞いで眼をギュッと瞑った。
『ねぇ、あそこにいるの……成宮稜じゃない?』
ザワザワ、ザワザワ
へ?─
ロビーにいる何人かが稜さんに気づいたみたい。
「稜さん、ほら、見られてるから」

