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エリュシオンでささやいて
第8章 Staying Voice

♪♪♪~
突如電子音が鳴ったのは、須王の家に据え置かれてある、電話かららしい。
須王は最初無視してキスをしていたが、長くなる電話に、あたしが及び腰になったのを感じてか、ふてくされたようにして電話に出た。
渉さんの電話は出ないのに、誰からかわからない宅電はいいらしい。
数度会話して、こちらに戻ってきた時には、彼の表情は平静さを取り戻し、あたしの手を引いて言った。
「プールと露天風呂、予約の時間だ」
「え……。あたし泳げないし、水着も……」
「水着はレンタルを頼んでいる。プールも泳がなくていいから、風景を楽しめよ。一面窓、東京の景色を見れるから」
想像したら、気分が高揚する。
「超高級ホテル並に、贅沢だね!」
「ああ。俺には、お前が隣にいることだけで、贅沢なんだけどな」
「……っ」
いやだから、あなたこそ不意打ちをやめてよ。
眩しいものを見ているように、距離を作った眼差しをやめて欲しい。
「俺達の貸し切りだ。お前の水着姿、すげぇ楽しみ」
無邪気な笑みが、高校時代の須王とだぶる。
「き、期待されても……」
「別に俺、お前の裸、隅から隅……奥の奥まで見てるけどよ」
「ちょ!」
奥の奥って、どこを覗いているのよ!
「……だからこそ、期待してる」
須王は、あたしの頭をポンポンと軽く叩いて綺麗な笑みを浮かべた。

