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サキュバスちゃんの純情《長編》
第11章 幸福な降伏

「ところで、今、あかりを口説こうとしている男はいる?」
翔吾くんの言葉にドキリとする。
私を口説こうとしている男――それは、君のはとこだよ。
荒木さんのことで嘘をついたところでメリットはない。彼が双子にバラさないとも限らない。そのとき、責められるのは私だ。
ここは素直に頷いておこう。
「……一人、会社の人が」
「食事に行ったり?」
「何度か……うん」
「告白された?」
「……はい」
湯川先生と翔吾くんは、顔を見合わせたあと盛大に溜め息を吐き出した。
「これだから、ほんと、あかりは」
「ほんと、ほっとけない」
「でもね、でもね、彼氏がいるからって断ったんだよ、私! ちゃんと断ったの!」
「でも、口説かれてる」
「……う」
「隙があることを見抜かれているわけだ」
「……うぅ」
二人から交互に責められ、私は肩身が狭い思いをする。
隙だらけで、そこに目をつけられているのは事実。悔しいけれど、荒木さんのほうが、ずっとずっと上手(うわて)なのだ。
「……ごめんなさい」
上手に断れるなら、断りたい。湯川先生や翔吾くんを深く傷つける前に、断ってしまいたい。
でも、上手にできなかった。私は、本当に愚かだと思う。バカだと思う。
結局、二人に心配ばかりかけている。

