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サキュバスちゃんの純情《長編》
第8章 兄弟の提携

「んー、そう、だねぇ。検討してみる」
「うん。俺はあかりの一番ならそれでいいけど、やっぱり他の男には渡したくない」
「体だけの関係でも?」
「もちろん」
ということは、やっぱり「恋人」以外はいらない、と。翔吾くんはそれを望んでいる。
湯川先生はどう考えるだろう。話してみないとわからないけれど、翔吾くんと似たような考え方なら、セフレのあり方を変えないといけないかもしれない。
「健吾は、なんて?」
「翔吾くんと別れるなら俺も別れる。翔吾くんが恋人になるなら、自分はセフレでいいって」
「……へぇ。意外」
翔吾くんが私を諦めようとしたのも意外だったよ。
軽井沢に来て、本当に、意外なことばかりだった。けれど、二人の本心も聞くことができたし、良かったのかもしれない。
香水は結局、私のキャリーバッグの中に入ったままだ。でも、翔吾くんはいつも通り穏やかそうに見える。暗示はもう必要なくなったのだろうか。
「健吾と別れたい?」
「……正直に言うと、翔吾くんがいてくれるなら、どちらでもいい」
「かわいいこと、言ってくれるね、あかりは」
嬉しかったらしく、翔吾くんは口元を押さえてニヤニヤしている。耳が真っ赤だ。
「……恋人とセフレなら、三人でするのは難しいかな」
「え、でも、翔吾くん……大丈夫なの?」
「あぁ……知っていたの? バレていないと思ったんだけど。情けないよね。でも、あのときとは気の持ちようが変わったから、大丈夫かもしれない」

