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サキュバスちゃんの純情《長編》
第8章 兄弟の提携

「翔吾くん、私のこと、一度は諦めたでしょう?」
「だっ、て……健吾なら」
「健吾くんに奪われるならいいって?」
頷く翔吾くんの頬をつねって、笑う。笑うけど、あのとき、本当は、ちょっと悲しかった。寂しかった。そして、腹が立った。
「良くない」
「ごめん」
「私のことを好きな間は、私のことを諦めないで」
酷い呪詛。呪いの言葉だ。
けれど、翔吾くんは頷く。「諦めない」と呟くそのいじらしい態度に、ぞくぞくするほどの色気を感じる。
「ごめん、あかり。悪かったと思ってる」
「本当に?」
「本当に。もう二度と、あかりのことを諦めたりはしない。あかりを好きな男が何人いても、その中の一番であり続けたい」
だから、イカせて、と翔吾くんが目で訴えてくる。私はそれを却下する。
「じゃあ、我慢して」
動きやすいように足の位置を動かして。その動作だけで、翔吾くんは何が起こるのか理解してくれる。

