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サキュバスちゃんの純情《長編》
第8章 兄弟の提携

「誰かに何か言われたんだね?」
「……セフレが、体だけを求めるはずがない、心を許さないあなたは残酷だ、って」
「あー……誰か知らないけど、余計なことを。まぁ、全面的に同意するけど」
額にキスをしてくれて、翔吾くんは苦笑する。
「でも、それを承知の上でセフレになったんだから、あかりを恨んだりはしないよ」
「翔吾くん」
「残酷か……残酷だなぁ、確かに。無自覚だもんね、あかりは」
「……そんなに?」
「そういうところ」と翔吾くんは笑う。
無自覚で、鈍感で、残酷……私、もしかしなくても、めちゃくちゃ、悪女?
「ま、あかりのセフレになるなら、それくらい許容範囲でしょ。振り回されるのにはもう慣れたし」
「え、そんなに振り回して、た?」
「ジェットコースターより酷いよ」
「う……すみません」
どこが悪いのか、悪かったのかさっぱり思い当たらないけど、とりあえず謝ってしまう。
ジェットコースターより酷く振り回す女なんて、最悪じゃないか。しかも、翔吾くんは、そこから降りようとする気はないみたいだし……うん?
「……翔吾くんは、ジェットコースターが好きなの?」
「好きなほうだよ」
だから、降りないのかな。あえて、振り回されている、ということ? それが、好きなの? 翔吾くんは、実はMなの?
「マゾ?」
「どちらかと言うと、S。桜井翔吾はSが二つもつくよ」
「あ、ほんとだ。イニシャ」
唇が塞がれる。これ以上喋らないで、と言うように。

