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サキュバスちゃんの純情《長編》
第5章 恋よ来い

 住みたい街だと言われている駅の周辺には、朝から若者が多い。
 南口で荒木さんと待ち合わせている。時間は十分前。スピーカーの音がよく聞こえる。どうやら都知事選の候補者が近くで街頭演説をしているようだ。

 階段を降りていくと、ボーッとしている荒木さんの姿が目に入る。七分くらいの丈のズボンに、サマーニットかな? 街頭演説を見ながら、日陰で涼んでいるようだ。慌てて駆け出す。

「すみません、お待たせいたしました!」
「おはよう、月野さん。いつもスーツばかりだから、私服は新鮮だね」
「荒木さんも、同じですよ。お互い様ですよ」

 ハハハ、そうか、と笑った顔が柔和で、仕事中とは違うなぁとキュンとする。休日の、荒木さんだ。

『藍川道弘、藍川道弘をよろしくお願いいたします!』

 駅の構内でははっきり聞こえなかった候補者の名前。さっきまでは本人が政策を話していたのに、それを終わらせてウグイス嬢に切り替わったからかもしれないけど、聞き覚えのある名前に、思わず人だかりのほうへ目を向けてしまった。
 藍川、道弘……?

「長野の元県知事が、東京で立候補したみたいだよ。与党の推薦はついてるし、政策もハッキリしているけど、知名度が低いから、どうだろうね」

 人だかりの中心の人物は、集まった人たちと握手をしているようで、その姿は隠れて見えない。

「でも、結構渋い感じの顔だったから、ルックスで選ぶ人もいるかもしれないね」
「そう、ですか……」
「南口ってことは公園のほう?」
「あ、はい、そうです」

 道案内をしながら、荒木さんを誘導する。
 藍川道弘……もしかして、彼は長野の県知事をする前は、県議だった?
 ……まさか、ね。よくある名前、だよね。
 ストローハットごと頭を振って、余計な考えは振り落とす。今は、荒木さんとの時間を楽しまなくちゃ!

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