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Oshizuki Building Side Story
第6章 Flapping to the future!

「あのさ陽菜。送信者名はこっちで入力したと思ってる?」
「え?」
「確かに俺も、喜多見響のLINE登録したのは、全員が酔っ払っていた時で、友達がどちらが多いかの論争になってさ。酔った桐嶋さんが俺に、喜多見響のプライベートスマホに友達登録してというから、彼が嫌々、俺が渋々登録しただけで。つまり、あの〝ひまりん♡〟は彼が登録していた名前だ。で、後で気づいてあまりに恥ずかしいから俺、こっちの表記をキタミに直したんだ」
驚いた。
カリスマデザイナーが……そんな名前を……。
「なんでひまりん……」
「桐嶋さんが、陽葵(ひまり)だからだ」
だから、ひまりん……。
「プライベートLINEは、彼女がギャグでそう設定したらしい。そして彼も、それは桐嶋さんしか登録していないから、直すのを忘れていたらしい。あの2人は婚約しているし、めっちゃラブラブだから。陽菜の入る隙間はないからね」
朱羽は念を押すことも忘れない。
「後埜総帥も喜多見さんも桐嶋さんも、皆で陽菜を連れてこいというから、それを妨げるために酒を飲んだのに、どうして皆も負けじと飲むのかわからないよ。おかげでいらぬ疑いをかけられてしまうことになったし」
「別にあたし行っても……」
「駄目だよ、絶対陽菜、喜多見響にきゃーきゃー言うだろう!?」
彼女がいるのにそんなこと言わないって……と言おうとしたけれど、確かに本人目の前に、自分がどうなってしまうかわからない。
ただし、恋愛感情抜きにして。
そこのところ、朱羽にはわかって貰えていないらしい。
あたし、そこまでミーハーだったかなあ。
それとも、朱羽が不安になるほど、喜多見響が凄いイケメンだったとか?

