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こじらせてません
第2章 馴致
箱の中身は、調査票が回ってきたならば、「他の愛玩動物・同用品」に分類される首輪だった。ミサとしては、本当は南京錠がデザインされたものがよかったのであるが、それは短いものしかなかったから、一つの妥協をせざるをえなかった。

「あご、ちょっとあげて」
「……はい」

アキラが喉ぼとけを晒すと、正面から巻きつけていった。バックルは横に来たほうが見栄えがいいと思い直し、横手へ革帯を巡らせると、

「っ……」
「あ、冷たかった? もうちょっと待って……、よいしょ」

バックルに肌を咬ませてしまわないよう、丁寧に巻きつける。新品だから、まだ硬い。革が馴染んでくれば、もう少し取り付けやすくなるだろう。

「……できた」

一歩引いて眺めると、昨日の会社帰り、銀座の店舗で夢想したよりも、ずっと似合っていて──「子宮が疼いた」。

「うれしい?」
「はい……。あ、ありがとう……でも、こんな高いの……」

愛玩されるべき不世出の少年は、そんなことを気にしなくていい。世の凡庸な愛玩対象たちも、自分たちに与えられた物へ喜びを感じこそすれ、その取得金額の多寡は気にはすまい。

「いいの。すごく、かわいいから」

二回の「か」で噛みかけたが、帰り道に不意打ちで気持ちを教えてくれたのだから、こちらもキチンと言葉で言ってやるべきだと思った。

ただし我欲がまた、ミサに「食べちゃいたい」を言わせそうだった。

一回目は照れ笑いで済んだからといって、二回目もそうとは限らない。
するとアキラが頬を染めてはにかみやがったものだから、
ミサは我欲に従って、
アキラの手を引いて中へ導こうとして、
パンプスを脱がずに先を急いでしまおうか、
そちらの我欲は何とか振り払い、
結局脱いで、
アキラも靴を脱がせて、
寝室へと直行した。

二人でベッドに上がる。

マンガに限らず、シャワーがどうのこうのという話もあるが、我欲に従えば不要だった。

「アキラくん、おいで」

ミサが立て膝になって両手を広げると、すぐ前までにじってくる。
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