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明治鬼恋慕
第11章 夜叉

「ぅ──…ッ、……フ、私を殺す気か? お前に人間を殺せるのか?」
「…ッ…ハァ、うるさい……!!」
首の皮を切られた痛みに顔を歪めた又左衛門だが、まだ挑発をやめなかった。
言い返す焔来は額に新たな汗を浮かべ
普段の彼ではあり得ない険しい形相を浮かべる。
焔来の全身を蝕む熱はまだ消えたわけでなく、それに堪える彼の目は血走っていた。
「殺して、やるよ……ッ……ハァ、ハァ…っ、お前なんか俺がここで殺してやる…!!」
「……」
「──…だがその前にリュウの居場所を吐け!……ハァ、……さぁ、言えって!」
「ふ…ふ、また相方の心配か」
刀の柄( エ )をぎりぎりと握り締め、焔来の手が震えている──。
そんな状態でリュウの居場所を聞き出そうとする彼を又左衛門が嘲笑う。
「相方のリュウとやらはお前と違い、鬼であろう」
「…だったら、なんだ…!!」
「しかも、お前が夜叉であることを知らない…。狂骸湯を飲んだお前を本気で心配していたからな」
「……っ」
「図星か」
そして又左衛門は、焔来が自分の正体をリュウに隠していることを見抜いた。

