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明治鬼恋慕
第11章 夜叉

まさか、焔来は人間だったのか?
…いや、それはない。
狂骸湯を飲んだ後のあの苦しみよう──とても演技だとは思えない。
“ ならば何が原因で…っ ”
目覚める筈がないのに。
“ 狂骸湯が偽物だったのか?
そうかもしれぬ──…もしくは、…まさか…! ”
....
「お前………そうか」
形勢逆転を決められて青ざめていた又左衛門。
しかしこの男──自分の立場をわかっているのか。
「わかったぞ。お前は……ふ、くははは!」
「…っ…ハァ、ハァ」
「ははは…、ひ、は…」
文脈のない奇妙な笑いが暫く続く。
ただ明らかに、今までの余裕のある笑い方は又左衛門から消えていた。
手も足も出ない状況で顔をひきつらせ、不気味なほど声高に笑っているのだ。

