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PM2時〜パッカー車の恋人〜
第19章 入院

病院のベッドで、点滴を打たれている紗蘭の頬は、先程よりも紅みがもどってきているように思える。
良かった…。
少しだけホッとした。
紗蘭はやはり貧血と栄養失調だったようで、しばらく入院になった。
俺としても、入院してこうして病院に居てくれた方が今は安心だ。
握っていた手に力がこもったのを感じて、紗蘭の顔を見るとゆっくりと紗蘭の瞳が開いた。
「紗蘭!大丈夫か?」
「涼…ここは…?」
「病院だよ。倒れたから救急車を呼んだんだ。」
「ごめんなさい…迷惑かけちゃって…。」
「大丈夫だよ!それより早く元気になって、退院しような。」
「うん…ごめん。」
そう言って微笑む紗蘭の表情は相変わらず、消えてしまいそうな、そんな表情だった。
紗蘭を勇気付けたいのに、掛ける言葉が見当たらない。
ただ、紗蘭の手をギュッと握る事しか出来ずにいた。
そんな時、俺のスマホが着信を知らせた。
見ると会社からで、俺は紗蘭に断って、病室を出て電話に出た。
紗蘭が大変なこんな時なのに、会社からの電話は明後日からの出張命令。
なんでこんな時に!
会社は忙しい時期で休むわけにも行かず。
でも、紗蘭の事が心配で正直出張になんて、行く気にはなれなかった。

