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果てのない海に呑まれて
第18章 訣別

「いやぁあぁぁぁあ!」
「リリア!?」
振り向けば、船室の前にリリアが立ち男にナイフを突き付けられていた
"何故だ……部屋の方にはずっと注意を向けていたのに!"
まさか小窓から侵入出来るような男がいるとは思っていなかったのだ
小窓はそれほどまでに狭く、男も小柄だった
「レオン……っ」
「ひひっ…まさか船にこんな美人乗せてるたぁねぇ……流石はファルツの坊やってとこか?」
男はリリアを捕らえたままじりじりと渡し板へと近付く
「…くっ……」
「おっと、妙なマネすんなよ。ちょっとでも動いたらこの嬢ちゃんはあの世生き……それはオレとしてももったいねぇからなぁ。
連れて帰ってお前の代わりにたっぷり可愛がってやるからよ……ひひっ」
レオンは男を悔しげに睨みながらも従う振りをして一歩退がった
そしてミゲルの方に、相手に気付かれないように話し掛ける
「男に隙が出来たらすぐに攻撃しろ。リリアは私が助ける」
「……」
「おいっ、聞いているのか」
ミゲルが答えないうちに男は板に乗り、そのままリリアも引き上げる
「ひひっ……その涙目、ソソるなぁ」
「ミゲル!」
「おい! 何コソコソやってんだ!
この女がどうなっても……っ!?」

