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第6章 初恋の人

卒業式のシーズンを迎えるたびに礼人のことを思い出す。
小学校のころから大好きだった人。
礼人と同じ高校に行きたくて必死に勉強したのに
男子校で一緒にいけないって知ったときもたくさん泣いたな…。




『礼人……？』



久しぶりに礼人の姿を見た。
もうあれからだいぶ月日は経ってしまったけど
あのメガネ、唇の端が上がる優しい微笑み、細くて長い指……変わってない。



店員さんと真剣に話していている姿から
彼女に送ると大事なものを買っているのがわかる。
贈り物が決まったのか店員さんが席をはずすと
ポケットに手を入れながら、照れ笑いしている礼人が可愛くてーー
あの日、あんなことがなければあの優しい微笑みは私に向けてくれていたものなの…？