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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第22章 "罠"


体中の熱が少しづつ冷めていく…
だが、体の何処か一部に熱が残っている、そんな感じだ。

ぐったりしている月詠を余所に、淡崎は更に話を続ける。


「裏切ったら月詠、君が酷い目に合うよ‥
そこら辺の格下遊女みたいに男を求め、それでも満足出来ずに体中は疼き苦しむ…
そんな思いはしたく無いよね、だから俺が定期的に薬をもって来てやる、そうしたら君はこの世の極楽を見て、俺も目的を果たせるって訳さ…」

淡崎は月詠の横で胡座を掻き、頬づえついて座って月詠を見下してる…


「目的な人は誰やん…」

やっと体中の熱も収まり、普通に話せるようにはなった…
それでも、何処か疼く体を無理に我慢して……


「ふふ…知りたい?」

「うちの客…どすな…」

やっと半身だけを起こし、はだけた身なりを整え始める…


「そう…
君は倒幕佐幕に良い常連をもっているからね、目的の人間は数人居るけど、一番の目的は新撰組沖田総司と橘瑠衣…」


(やはり…)


月詠は読み通りの答えに何も言えなくなる、瑠衣絡みならば此方も慎重に成らざる負えない。


「あぁ、君に付いていた変な忍、俺が殺しちゃったから」

「!!!」

監察方を!?

それだけこの男の能力が高いという事か…
月詠は青い顔をして俯く、本当に迂闊な事は出来ないという事だ。


「…分かりました、あんはんに従います」

「ふふ…
物分かりが良くて助かるよ」

そう言い月詠を引き寄せ、軽く甘い接吻する…

軽い接吻の後、高杉達と合流すると言い空き部屋を出る二人。






「先生すみません、月詠さんが具合悪そうにしていたので介抱していました」

何食わぬ顔で部屋に入る淡崎、その後ろに月詠が続く。

「月詠、大丈夫か?」

一応は心配顔をする高杉だが…

「へぇ、申し訳ありまへん、本当に酔うてしまいましたわ」

高杉の隣に座り、上目使いに顔を見る遊女ならではの仕草。


「もう良いのか?」

「へぇ、うちの為に心配してはあきまへん、高杉はんはお客様どす」

そう言い切り、月詠は何食わぬ顔でお酌を始めた。


「そうか…」

注いで貰った酒を高杉はチビチビと飲む…


(はんっ、あの女に爪の垢でも飲ませてやりたいぜ…)


あの女‥多分瑠衣の事だろう…


敵味方入り乱れる島原遊廓、月詠は今度は仕方が無く淡崎と連む事になった・・・・・
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