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【マスクド彼女・序】
第2章 前日【楽園からの誘い】

大学も夏季休業に入る直前。この日は、前期テスト日程の最終日だった。
真矢正直は今年、大学の四回生。本来なら昨年度までに卒業の単位に目途をつけ、後は就活と卒論に集中すべき立場である。
が、彼が送ってきたこれまでの三年は、とても勤勉な学生生活とは言えず。今まで遊びほうけていたツケが、ブーメランの如く――。
つまりは、自業自得……。
結果として今年も暑い最中、試験の日程に苦しむ二週間を過ごしていた。その上、一つでも落としてしまったら、それこそ就職処の騒ぎではない。留年が、ほぼ確定する。
それでも――
「はあ……やっと、終わった」
ラストとなる試験も、どうにか終えた。
単位? 何とか、なるだろ。
そんな風に無理に楽観的に構え、束の間の解放感に浸ろうとしている。無責任で熟慮が足りないと思われても、仕方がないことだろう。
山奥の田舎より、東京の大学へ入学してから三年余り。独り暮らしですっかり羽を伸ばし切り、憧れた都会での生活に塗れて溺れた。
入学当初、まだ純朴さを残した少年は、この数年を経てやや軽薄な青年へと変貌してしまっている。
真矢正直は今年、大学の四回生。本来なら昨年度までに卒業の単位に目途をつけ、後は就活と卒論に集中すべき立場である。
が、彼が送ってきたこれまでの三年は、とても勤勉な学生生活とは言えず。今まで遊びほうけていたツケが、ブーメランの如く――。
つまりは、自業自得……。
結果として今年も暑い最中、試験の日程に苦しむ二週間を過ごしていた。その上、一つでも落としてしまったら、それこそ就職処の騒ぎではない。留年が、ほぼ確定する。
それでも――
「はあ……やっと、終わった」
ラストとなる試験も、どうにか終えた。
単位? 何とか、なるだろ。
そんな風に無理に楽観的に構え、束の間の解放感に浸ろうとしている。無責任で熟慮が足りないと思われても、仕方がないことだろう。
山奥の田舎より、東京の大学へ入学してから三年余り。独り暮らしですっかり羽を伸ばし切り、憧れた都会での生活に塗れて溺れた。
入学当初、まだ純朴さを残した少年は、この数年を経てやや軽薄な青年へと変貌してしまっている。

