ある日の、昼下がり。
喫茶『みなと町』は、ぱたりと客足が途絶えていた。
みなとは、今、高槻くんと一緒に出かけている。
あの子はいつも出かける時、私を気遣う。
『お父さん、ごめんね。今日、お手伝い、少しできなくなる』
そう言いながら、ドアを出ていく。
ふと、昔を思い出す。
あの子が仕事を続けられなくて、やめざるを得なくなってしまった時。
口数が減ってしまい、私はとても心配した。
最初は、苦し紛れだったように思う。
「みなと、お父さん、ひとりじゃ大変なんだ。
コーヒー淹れて、お給仕して、会計して・・・
アルバイトを頼むのも難しいから」
そう言って、手伝いをお願いした。
彼女は最初はおずおずと、でも、そのうち、私が思ったよりたくさんのことを覚えてくれた。
こんなに大きくなった子どもの成長を、間近で見られるのは、
なんだか、得した気分だよ、
そんな風に、写真立ての中のお前に話したよな。
だけど、ちょっとだけ懸念があったことと言えば、
あの子がずっとここに囚われたら、ということ。
でも、それは、杞憂だったみたいだ。
初めてあの瞳のきれいな青年が訪ねてきたときのことを、今でも覚えている。
『古谷みなとさんの働いている喫茶店は・・・ここですか?』
思い返せば、その日に、予感していた。
いつかみなとが、ここを離れていく、その時がくることを。
カラン・・・
おや、客かな?
そう思ったが違った。
みなとが帰ってきた。
高槻くんと妹さんも一緒だ。
「おかえり、みなと」
「ただいま、お父さん」
ああ、ちょうどいい。
「みなと、荷物が届いているよ」
そう言って、冷蔵庫から箱を取り出した。
なんだろう、とみなとが首を傾げる。
その姿は、本当にお前にそっくりで、なんだか懐かしくなる。
箱の中身は作者殿からのプレゼント。なにやらお祝いらしい。
それは、
『3回目ピックアップ!おめでとう🎉』
そんなプレート入りのホールケーキだった。
三者三様、驚きと喜びの声。
すごいねなどと、わいわい言い合う子どもたち
その姿に、私は目を細める。
あゝ、そうだよな。
いつか、あの扉から、みなとは巣立っていくんだよな。
それでも、
親としていつか迎えるその日が来るまで、
もう少しだけ、
あの姿を、あの笑顔を見ていたいよな。
なあ、お前もそう、思うだろ?
作者ページ
kalraさんの日記
「雨が好き」ピックアップ祝🎊3回目ーお父さんVer.ー
[作成日] 2025-06-16 19:20:37
日記へのコメント
みかよさま
コメントありがとうございます。
ずっとずっとみなとの一人称だったので、たまにはと思ってのパパさん登場。
スピンオフ的な感じで楽しんでいただけたら。
今回はホールケーキでした。
みんなでみなとの淹れたコーヒーと一緒に食べたのかな?
ほっこりしてくれたら幸い!
Kalraより♪
コメントありがとうございます。
ずっとずっとみなとの一人称だったので、たまにはと思ってのパパさん登場。
スピンオフ的な感じで楽しんでいただけたら。
今回はホールケーキでした。
みんなでみなとの淹れたコーヒーと一緒に食べたのかな?
ほっこりしてくれたら幸い!
Kalraより♪
3回目のピックアップ、おめでとうございます🤗
今回は普段あまり語らないみなとパパversionで、ホッコリさせて頂きました💕
みなとの一番近くに居たパパだからこそのお話…
そして毎回作者様からのプレゼントにワクワクしちゃいました🥰
今回は普段あまり語らないみなとパパversionで、ホッコリさせて頂きました💕
みなとの一番近くに居たパパだからこそのお話…
そして毎回作者様からのプレゼントにワクワクしちゃいました🥰
雨が好き
三回目のピックアップに朝からびっくりです。
(毎回言っていますが、ホントびっくりしてます!!)
早速メッセージをくださった方
いつも応援してくださってる方
ほんとうに、ほんとうにありがとうございます!
みなとのお話が、みなさんの心になにかを残せたたら、ほんと嬉しいです!
今後とも、よろしくお願いします。
Kalraでした!!
三回目のピックアップに朝からびっくりです。
(毎回言っていますが、ホントびっくりしてます!!)
早速メッセージをくださった方
いつも応援してくださってる方
ほんとうに、ほんとうにありがとうございます!
みなとのお話が、みなさんの心になにかを残せたたら、ほんと嬉しいです!
今後とも、よろしくお願いします。
Kalraでした!!